ニューモシスチス肺炎について正しいのはどれか。2つ選べ。
a: 日和見感染症である。
b: 病原体は寄生虫である。
c: 胸部X線では無気肺を認める。
d: マクロライド系抗菌薬が有効である。
e: 血中β-D-グルカン値は診断に有用である。
ニューモシスチス肺炎は細胞性免疫不全により引き起こされる日和見感染症である。
リスク因子として、HIV 感染、ステロイド投与、免疫抑制剤、生物学的製剤、悪性腫瘍、抗癌剤による化学療法、血液透析などがある。
自覚症状の3主徴は発熱、乾性咳嗽、呼吸困難である。
治療としては、第1選択薬はST合剤、第2選択薬はペンタミジンで、呼吸不全を伴う場合にはステロイドの全身投与を併用する。
a:正解。ニューモシスチス肺炎はPneumocystis jirovecii(ニューモシスチス イロベチイ)による日和見感染症の一つである。
b:ニューモシスチス肺炎はPneumocystis jirovecii(ニューモシスチス イロベチイ)による日和見感染症の一つである。Pneumocystis jiroveciiの形態は原虫に似るが細胞壁にβ-D-グルカンを有する真菌と証明されている。
c:両側びまん性に広がるすりガラス影が特徴的で、浸潤影を伴うこともある。また、HIV陽性患者では上肺野を中心に嚢胞性病変を伴うことが特徴的である。なお、初期には陰影を指摘しにくいことが多く、免疫不全宿主に起こった低酸素血症などでPCPが疑われる場合には、積極的に胸部CTなどで精査することが重要となる。
d:第1選択薬はST(サルファ剤、トリメトプリム)合剤を用いる。
e:正解。白血球数の増加、左方移動、CRPの上昇、血沈の亢進に加えて、LDH、β-D-グルカン(31.1pg/mL 以上)、KL-6も上昇する。この3者は通常の細菌性肺炎では上昇せず、PCPの病勢を反映するマーカーとなり重要である。PCP治療が奏効しない場合はCMV抗原検査(C7-HRP)も検討する。